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  • 執筆者の写真信徳寺

カレンダーのことば 8月

ご門徒の皆様にお配りしている直枉会カレンダーの


毎月のことばの解説や味わいをお参りの際に配布しています。




今月は「戦争に勝者はない」です。



戦争には勝者はありません。

他者の尊厳を奪い合うことに勝ち負けなどあってたまるものでしょうか、

絶対にあってはならないことです。


この戦争ということを思う時に、思い出すことがあります。

「ウルトラセブン」の第26話「超兵器R1号」のセリフで、

「それは血を吐きながら続ける···、悲しいマラソンですよ。」というものです。

この話は地球を守るために兵器開発をし、

何もないと思っていた宇宙空間にミサイルを打ち込んだところ、

実は生物がいる星を誤って攻撃し破壊してしまったことで、

その星の生き残りが地球に復讐に来るという話です。

その中で兵器の必要性を語るフルハシ隊員と

ウルトラセブンであるモロボシ・ダン隊員とのやりとりから先のセリフが出てきます。

兵器を開発し、それにお互いが対抗し続ける中に

どんどん強烈な兵器を作り続けねばならないんだという意見に対し、

「それは血を吐きながら続ける···、悲しいマラソンですよ。」と答えたものです。

誰も勝者はなく、永遠とゴールを引き伸ばされ続けるようなマラソンです。

なんとも虚しい世界です。


この話はフィクションですが、現実の世界でも科学と戦争の関係は切り離せないものです。例えば第2次世界大戦の頃、ドイツ軍はロケット兵器でイギリスなどを攻撃しました。

それを作ったフォン・ブラウン博士はアメリカへの亡命の後、

現在の宇宙開発の基礎となるロケット開発を指揮します。

このように私たちが今享受している便利なものの中にも

戦争によって研究が促進されたものもあるのです。

このことを仏教的には方便殺(ほうべんせつ)と言います。

直接的には手を下していなくとも他者のいのちを奪うことを表します。

例えば、薬や化粧品を享受する中に

多数のいのちを奪う動物実験がなされている事実がそうです。

このことから私たちは実は回り回って間接的に戦争に参加し、

他者のいのちを奪っていると受け止めていけます。


このことの申し訳なさを感じながら、

その私を受け止めてくださる存在のありがたさに出遇っていく教えが浄土真宗の教えです。この私が恥ずべき身であると知らされる「慚愧(ざんぎ)」と

その私をどんな私であろうとも受け止め抱きしめてくださる

阿弥陀如来に対するよろこびである「歓喜(かんぎ)」の教えです。

無意識に罪業を作り続けるこの私にこの仏様の存在はありがたくて仕方ありません。

その私を受け止めてくださるお心を伺いながら、

とてつもなく難しいことですが少しでも過ちを犯さない生き方をできればと

思わせてもらう今月のカレンダーのことばでした。



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