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  • 執筆者の写真信徳寺

2022年1月の掲示板


まっさらな ノートを うれしく思う


 新年をお迎えします。お正月はどこもかしこもお祝いムードとなります。いつもと変わらない時間を過ごしているはずにもかかわらず、この新年をお慶びのことばでお迎えいたします。それは敢えて節目を作るということでありましょう。そして節目とするにあたって、暦という皆に通じやすい普遍性を持ったものであるからそのように仕上がってきたのでしょう。

 さて、この節目ということを考えてみますと、新品のノートを使うときのことを思い出します。まっさらなノートに何かを書き始めるとき、うきうきした記憶はないでしょうか。例えば、学生の頃に最初のページからなんとか丁寧に書いてみたり、できるだけ汚さないようにしてみたりした記憶があります。結局、長続きはしないのですが…。しかし、何かしら心境の変化を覚える機会でした。このようにノートに限らず小さいながらも何か新たに始める時の心境の変化は、節目のもたらすものでしょう。

 そしてこの節目というものを突き詰めて考えれば、人生を一からやり直すことはできないけれど、新たに始めていくことができることに気づかせてくださる機会だと思うのです。新しく始めることは、未来を変えていくことのように思いますが過去も変わります。それは新たなものの見方に出遇う中に新たな気づきに出遇い、新たな受け止めが仕上がるということです。起こってしまった出来事は変わりませんがその出来事の受け止め方が変わっていくという意味で過去も変わると受け止められます。改めて始める中に過去も未来も変わる世界が開かれるのです。積み重ねてきたことは変わりませんが、そこへの受け止めが変わるのです。そのきっかけになるのがさまざまな節目ではないでしょうか。ただ人間は自分中心のものの見方しかできません。それどころではない出来事があれば新年のような節目など吹っ飛びます。それならば個々にきっかけとなる節目を作ればいいのだと思います。

 いつ何時どうなるかわからず、また必ず終えていかねばならない無常のいのちを生きざるを得ない私たちにとっては、節目を生きる知恵とし、節目をきっかけにしていくのが大切なのではないでしょうか。私たちの意思とは関係なく過ぎ去らねばならない時間を生きる私たちにとって必要なきっかけです。新しいノートを使うときの新鮮さに気づかされるように、新たな価値観に出遇うのが仏教です。今年も掲示板のことばの中で新たな気づきに出遇っていただきたく存じます。




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