信徳寺
2020年5月「掲示版のことば」
更新日:2020年9月23日
『騙されるな』
人は生まれて、生きて、死ぬ
これだけでたいしたもんだ (ビートたけし詩集『僕は馬鹿になった』より)
私たちの苦しみの原因の一つに比べてしまうということがあります。例えば、本当の私はこんなはずだったに違いないとか自分の理想と現実を比べたり、他の人々のすがたや状況などと自分のそれを比べたりして思い悩んだりしてしまうところがあります。そこをモチベーションにして頑張ることもできますが、現在の得体の知れないウイルスと向き合っている状況のように、本当に余裕のない時にはどうしようもなくなってしまうのが私たちのすがたではないでしょうか。
ほとけさまのお心は「あなたが大事です」という心です。すべての命を平等に、まるでたった一人の子どもであるかのように受け止めてくださるお心です。そのまなざしの中では、この私が何者になる必要もない、比べる必要のない世界に生きることができます。そんなことを思い出させてくれる詩を以前友人に教えていただきました。
『騙されるな』
人は何か一つくらい誇れるもの持っている
何でもいい、それを見つけなさい
勉強が駄目だったら、運動がある
両方駄目だったら、君には優しさがある
夢をもて、目的をもて、やれば出来る
こんな言葉に騙されるな、何も無くていいんだ
人は生まれて、生きて、死ぬ
これだけでたいしたもんだ
(ビートたけし詩集『僕は馬鹿になった』より)
このいのちを生ききること、それだけでたいしたものなのだと気づかされる詩でした。こんな時だからこそ、改めてこの言葉が身にしみる思いです。
信徳寺

